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この動画は Dave Eggers がTED Prize というイベントで行った講演です。
この講演では、彼がアメリカで「826National」という民間非営利のライティングセンターを立ち上げるまでの経緯とその後の状況が語られています。
ところで、ライティングセンターとはどのようなものなのでしょうか。
1980年代、アメリカの大学において、学生の基礎的ライティングスキルを育成することを目的として設置され始めたとされ、現在ではアメリカ国内のほとんどの大学にライティングセンターが置かれています。設置当初は、英語を母語としない留学生やレポート作成に悩みを持つ学生たちをターゲットとしていたそうです。しかし、1990年代に入ると、学生はもとより、教員や職員に対するサポートも行う全学的な機関として位置づけられるようになります。日本国内でもこの取り組みが注目され、早稲田大学ライティング・センターや津田塾大学ライティングセンターが相次いで立ち上がりました。現状では、その輪は徐々に全国へと広がりつつありますが、まだ十全に整備されていないといえます。
大学内のライティングセンターの特徴として以下の2点を挙げることができます。まず、大学でのレポートや論文作成(いわゆるアカデミックライティング)に対する指導を行うことを目的としていますが、文章の校正や添削を行われず、指導を受ける人が自発的に書くことを通じて「文章を書き上げる力」を身につける点にあります。次に、基本的に個別指導の形態を採用している点です。なお、これらの点は、すべてのセンターに共通するわけではありませんが、ライティングセンターのWebサイトに明記されているケースもあります。
>例:MIT Writing & Communication Center
一方、海外では、大学内のみならず初中等教育向けのライティングセンターが非営利組織として多く存在しており、学校外で放課後の時間帯や週末を利用したライティングに関連する取り組みが行われています。また、非営利組織が学校のカリキュラムに組み込まれたり、ライティング指導のメソッドを学校教員たちと共有するケースもあります。ここでは、アメリカとアイルランドとイタリアの民間ライティングセンターをご紹介します。
826National
Dave Eggersによって設立されたライティングセンター。サンフランシスコのバレンシア(826Valencia)に開設されたのを皮切りに、ニューヨーク(826NYC)やシカゴ(826CHI)などアメリカ国内8か所で活動が行われています。雑貨店などを活用した学習環境づくりが興味深い事例です。
Fighting Words
826Nationalから影響を受けたRoddy DoyleとSean Loveによってアイルランドにつくられたライティングセンター。ストーリーテリングなどのワークショップが特徴的です。
La Grande Fabbrica Delle Parole
イタリアで行われているライティングセンター。作家やデザイナー、芸術家などが関わっていて、実験的な取り組みが多くあります。
最後に、私たちはライティングセンターを文章を書きたい人(書き手)もしくは書く必要がある人が、自ら書くことを通じて、文章を書く技術《ライティングスキル》を習得するために設けられたものだと捉えています。また、書き手が文章を書くことを重ねる中で考える機会を持ち、批判的思考《クリティカル シンキング》や論理的思考《ロジカル シンキング》を身につけることを"目標とする"組織ではないかと考えています。
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